ホテルの備品とは? よく耳にする"FFE"って何? ホテル旅館の備品について徹底解説

備品とは?

皆さん、昔、学校の教室などで、机や椅子に、こんなステッカーが貼ってあるのを見た記憶はありませんか?

↓「備品」と書いてあります。購入日や管理者の名前も書いてあります。

形式は色々で、最近では、バーコードやQRコードなどで簡単に備品管理ができる様になりましたが、

この「備品」とは一体何でしょうか・・。備品とは、文字通り、備えつけてある物品。ある物事を行なうために、その場所に備えつけておく品物などという意味です。

備品は、学校や会社、公共施設など、さまざまな場所にありますが、本日は、ホテル旅館の備品を主に少し見てみたいと思います。

FFEとは?

よく建築業界では、「FFE」という言葉をよく使います。「FF&E」とも書きます。

これは、「Furniture(家具)」「Fixture(什器)」「Equipment(備品)」の頭文字を取った略称で、
建築計画の中で、躯体工事や電気工事や基本的な内装仕上工事(クロス・塗装・木工事など)を除いた、装飾的な家具・備品・照明器具・カーペット等の工事のことをいいます。

「FFE工事」などともいい、ホテル旅館が建築される場合、家具やベッドや装飾品などはこの「FFE工事」に含まれます。

どこまでがFFE工事に含まれるかはケースバイケースですが、たとえば客室のタオルやシャンプーなどは消耗品に入りますので、FFEには含まれません。通常、消耗品は、建築工事でなく、ホテル旅館を運営する側が購入します。要は、どこまで、建築会社や設計事務所が担当し調達して仕上げて、施主側に引き渡すか、また、どこからは施主側が自ら購入するか、という線引きのところが、FFEかどうかという、わかり易い分類になるかと思います。

一般家庭とホテル旅館の違いは?

では、一般の家庭にある家具や電気製品や装飾品などと、ホテル旅館に置いてある家具や備品では、どう違うでしょうか・・・。

商品そのものの違いではなく、その存在価値や使用目的の違いで考えるとよくわかりますが、一般の家庭では、家具や設備などを使うのは、基本的に、その所有者である家族だけですが、ホテル旅館の備品を使うのは、その備品の所有者ではなく、そのホテル旅館の利用者(お客様)です。

宿泊のためとか食事のためとか宴会のためとか・・・何らかの目的でその施設を訪れたお客様が備品を利用します。購入時に各備品を選んだのは施設側ですが、施設側は実際にはそれらを直接使うわけではなく、施設側は、お客様が活動するための演出をしているだけに過ぎません。

主人公が、利用者であるお客様とすると、ホテル旅館の備品というのは、その舞台装置ということになります。更に言うと、一般家庭では、その各商品は、品物自体が「目的」ですが、ホテル旅館等の商業施設などでは、備品は、施設を運営するための「手段」ということになります。

そのあたりが、もし、たとえ、家庭とホテル旅館に置いてある物が同じであったとしても、存在目的からして、決定的に異なる点です。

ホテルの備品

具体的にホテル旅館の備品にはさまざまなものがあります。たとえば、客室内だけでも、デスクやチェアなどの家具、ベッド、ヘッドボード、デュベ、枕、ベッドスローからはじまって、

避難経路図・サイン、常備灯、ハンガー、ズボンプレッサー、パケージラック、乾燥機、グラス、テレビ、電気ケトル、冷蔵庫、イオン発生機、ヘアードライヤー等々・・・と、客室だけでも枚挙にいとまがありません

3Kの業界?

ホテル旅館の建築工事の中で、これら備品が納められるのは、全体の工程の中でも最後の段階です。

追加工事などでコストがかさんだ場合、予算にシワ寄せがくるのは、多くが最後のFFEの部分でもあり、また、工事全体の工程が遅れ気味の場合に、納期的なシワ寄せがくるのも、最後のFFEの部分ということも多く、また、特に、大手ホテルの場合は、検査も厳しいため、「予算が厳しい」・「納期が厳しい」「検査が厳しい」という、ホテル旅館の備品の業界は、3つの「厳しい」が揃った、「3K」の業界でもあるのです・・・(笑)